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About - - - パントマイムとコンピュータ技術 - その2
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前のページでは、Poserが中心でしたが、このページではそれ以外のコンピュータ技術とパントマイムの関わりについて書いてみました。
いささか、手当たり次第に書いてる向きがなくもないですが、よろしければお付き合いください。


その他のコンピュータ技術とマイム

ゲーム

昔(といってもつい数年前)、「アローン・イン・ザ・ダーク」というポリゴン・アニメーションを使ったアドベンチャーゲーム(?)がありましたが、あれがマイム・ウォークにそっくりの動きをします。たしかプロファイル・ウォークだったと思う。 障害物にぶつかって先に進めないが足は動いている、というような時はもうまさにマイム・ウォークです。
このゲームの開発元がフランスのソフトハウスとのことで、僕は勝手に「なるほど」とか納得していました。

パソコンのゲームでは、この「アローン・イン・ザ・ダーク」や「4D Boxing」あたりが3Dで人の動きをシミュレートしたはしりだと思います。まだDOSが全盛の頃ですね。前者は「バイオ・ハザード」とかのアクションアドベンチャー(?)ゲームの、後者は「バーチャ・ファイター」を初めとする、3D系格闘ゲームの祖先と言えるのではないでしょうか。

セガの「バーチャ・ファイター」を見た当時は、動きのリアルさに圧倒されました。まあ、「こんな動きできるかい!」とつっこみたくなるところも多々ありますが。
「バーチャ・ファイター」以降、格闘モノやスポーツものは3Dという流れができてしまったようですね。 最近はPCやゲーム機の店頭デモでキャラクタの動きについつい見入ってしまうことが多くなりました。

でも、マイムのテクニックを活かして動きを作ったらもっと良くなるのにな、と思うこともあります。
たとえば、ほとんど直立のまま走ってるようなキャラクタがたまにありますが、ちょっと身体を前傾させるだけで臨場感出るのに、とか。これは、マイム・ウォークのページで最後の方に書いた「走る」テクニックの応用ですね。
もちろん、リアルだったらいいというわけでもないんで、一概には言えませんが。

僕はゲームはあまりやらないんで偉そうなことは言えないのですが、それでもやはり、3D系のゲームの中でも格闘モノは全般に動きをよく研究しているなと漠然と感じます。

でも、おそらくこの辺の動きは、モーション・キャプチャを使って取り込んでるはずなんで、リアルなのは当然ですね。ちょっとPoserでは太刀打ちできない(※v3.0では多少太刀打ちできそうです)。


手話アニメーション・システム

マイムとはちょっと系統が異なるのですが、ソフトウェアで手話のアニメーションを実現するシステムがあります。 名前を「Mimehand(マイムハンド)」と言って、日立から販売されています。口話から手話に変換してくれるのではなく、単語を組み合わせることで手話アニメーションをエディットするシステムのようです。 手や腕の位置、指の使い方、顔の表情を何通りにも設定できます。手話の動きを単語登録することもできます。

実際には、アニメーションが表示できる端末では、たいてい文字情報も表示できるので応用機会は少ないかもしれません。 ただ、手話の場合は、話し言葉に近いスピードで認識できる(個人差があると思うので一概には言えませんが、手話に慣れた方なら文字よりは速いはずです)という点で応用価値があるのだろうと思います(僕は手話は指文字と単語をいくつか知ってるくらいなんで、実際のところはあまりよく分かりません。もし認識不足の点があれば、ご指摘ください)。

バリア・フリーに興味を持っている方は(もちろんそうでない方も)、ぜひ一度ご覧になってください。 URLは、http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/app/shuwa/index.html です。

また、このシステムを発展させれば、手話に限らず面白い使い方ができるかもしれません。
文章を読み込んでそれを実演するソフトとか、思い浮かびますね。 昔(というかまだWindowsが3.0でDOSの方が主流だった頃)、アメリカの教育用ソフトで "I", "eat", "an apple"と単語を並べるとミッキーマウスがリンゴを食べるてなソフトがありましたが、そんな用途に使えるかもしれません。

それと余談ですが、関西マルチメディア・ネットワーク協会というところが、音声や身振りからPCに入力できるシステムを開発したようです(日経のインターネット版で見ました)。身振りから入力というのが興味深いですね。


最近の映画

こないだは『タイタニック』、そろそろ『GODZILLA』(これを書いているのは'98.06)と、最近の映画といえばとにかくCG合成です。一般パソコン・ユーザからは縁遠いコンピュータ技術ですが、CG合成とマイムとは無縁ではありません。

『フラバー』('98年公開)で主演したロビン・ウィリアムズは、記者会見で「パントマイムの連続だった」と答えているようです(TokyoWalkerより、http://www.ibu.co.jp/tw/Welcome.html 参照)。
この映画に限らず、CGと実写の合成では、その場にない物体を相手に演技をする必要があります。 ・・・これは、そのままマイムの「無対象(モノを使わない)」演技につながります。
マイムの特殊な表現方法(デフォルメなど)は必要ないかもしれませんが、テクニックのページで口をすっぱくして言っている「イメージ」が演技する上で重要になります。
もちろん、柔らかいものをさわるときには指先を柔らかく使うなど、同化のテクニックを応用できるでしょうし、目線なども(マイムとは意識しなくても)マイム的に使っていくことになるでしょう。

もともとマイムはサイレント映画の時代に、一躍脚光を浴びています。 トーキーとともに映画におけるマイムは廃れたのですが、ここに至って、まったく違う方向からマイムの技術や精神が(まあ、マイムとは意識されていないと思うんですが)、映画に必要になってきているというのを僕は少し面白く思っています。


まとめ

・・・ゴリ押しぎみだったかもしれませんが、パントマイムとコンピュータの関わりについていろいろ書いてきました。

世の中のたいていのことが、多かれ少なかれコンピュータと関わるようになった最近では、マイムもその例から漏れるわけにもいかないのかな、と個人的には思っています。

ここでは紹介していませんが、Macintoshにはダンスの振り付けのための"Life Forms"というアプリケーションがあってマース・カニングハムなんかが使っていたようですし、ウィリアム・フォーサイスも専用の振り付け用アプリケーションを持っていると聞きます(『InterCommunication No.11』p.064 NTT出版より)。
ダンスを開拓するためのこのような先端技術応用の流れは、マイムにも影響していくことと思います。

また、コマーシャル・ベースでも、舞台芸術に対する先端技術の応用というのは進んでいくのではないかと、僕は思っています。 フォーサイスはすでに、かなりの動きや振りの映像ライブラリをデジタル化していて、CD-ROMにもなっているようですし。
しかし、パントマイムCD-ROMなんてのならまだかわいいんですが、 前のページに書いたみたいに、マルソーのマイムをモーション・キャプチャして、そのデータからPCのディスプレイで3Dキャラクターがマルソーの動きをする、ということになっていく可能性さえあるわけです。

特に、ダンスとかマイムとかはたいてい人間の身体一つで成立するんで、PCのディスプレイで見ても違和感が比較的少ないんですね。 コマーシャル・ベースになるかどうかは別にして、3Dモーション・データとしてのダンスやマイムというのは、案外近い時期に我々の目に触れる機会があるかもしれません。(もうずいぶん前になりますが、恐竜がボレロを踊るCGが話題になったことがありましたしね)。

・・・世の中こうなっていくのが、いいのか悪いのかは分かりませんが。


僕自身、コンピュータを使っていない人からすると比較的ハイテックな技術を使って、ここのサイトを構築しているわけなんで、テクノロジーの進歩を憂える立場でもないんですけど。
でも終局的には、実際に身体動かしたり、マイミストの動きを肌に感じるのに、バーチャルでは太刀打ちできないとも思っています。

・・・それにしても、ずいぶん長くなったな。
ここまでお付き合いくださった方、どうもありがとうございました。


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