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About - - - パントマイムとコンピュータ技術 - その1
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パントマイムとコンピュータというのは、あまり接点がないようですが、このページではアニメーションを作成するのに使っているPoserと、ここのサイトで使っている画像のテクニカル・ノートなどについて書いています。
かなり、テクニカルかつマニアックな話題になっていますが、まあご参考までに。

Poserについて - ()

このサイトでは、いろんなところでデッサン用のマネキンがポーズをとっています。テクニックのページでは、マイムウォークの実演なんぞもしてくれています。
このマネキンの画像やアニメーションは、もちろん1コマずつ書いてるわけはなくって、Meta Creation(Fractal Design)社のPoser 2.0J (Windows用)というアプリケーションを使って作成しています(http://www.metacreations.com/products/poser3/)。

Poserは、人体のモデリング(いろいろとポーズをつける)や、アニメーションを作成するためのアプリケーションです。マウスをグリグリ動かすだけで、人体やマネキンにいろんなポーズをとらせることができます。とりあえず、画材屋で売ってるデッサン用のマネキンよりは自由度が高いです。
データは3Dなんで、あらゆる角度からそのポーズを眺めることができます。もちろん、レンダリングもサポートしていて、なめらかな曲面や影を表現できます。マネキンをレンダリングすると、「パッと見」は写真をスキャンしたように見えなくもないくらいです。

人体のようにパーツの数が多く複雑な物体を、フツーの3D CGソフトで表現するのは相当面倒なところが、Poserを使うと本当に楽ちんになるわけです。変なソフトですが、やはり3D CGの関係者には有用なんだと思います。また、漫画とかイラスト描きにも応用できるみたいです(http://home.intercity.or.jp/users/makio/cg/doc/cgdoc01.htm)。

そして、これが僕にとっていちばん重要なとこなのですが、アニメーションを作成できます。
アニメーションは動きのポイントを指定すると、間をいい具合につないでくれるので、非常に簡単です。
たとえば「きをつけ」から「前にならえ」をさせるなら、最初のコマに「きをつけ」のポーズを作成してから、それから数十個先のコマに「前にならえ」のポーズを作成します。すると、腕を下から前へ振り上げる自然な動きが、間の数十個のコマに補完されます。

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遊ぶには本当にいいソフトです。モデルにポーズをとらせるというのが、人によってはちょっとクリエイティブな気分をもたらしてくれるのかもしれません。もっとも、僕は使い始めた当初、無茶なポーズをとらせて笑ってただけでした。情操教育とかにはたぶん向かないと思います。・・・この手の遊び方の発展形というか何というか、一部で話題の「兄貴」系の遊び方もあります(http://www.niji.or.jp/home/makio/index.htmlなど)。

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ここからは欠点を書きましょう。
まず、描写される人体がちょっとあれです。顔が無表情なのは甘んじて受け入れるのですが、男性も女性もつるっぱげです。それと、手の表情を多少つけることができるのですが、パントマイムのページを作るには物足りないです。

操作性は悪いです。
ポーズをとらせるのが、慣れないうちはとにかく大変です。でたらめに手足を動かして遊ぶのは楽ちんですが、ある決まったポーズをとらせようとすると非常にやっかいです。しかし、これは慣れればどうにかなります。
問題はアプリケーションとしての操作性です。
たとえば、「カメラ」という視点を切り替えるモードと腕などを動かす「ポーズ」というモードがあります。この切り替えが非常に面倒くさい。腕を動かすつもりで、視点が切り替わってしまったりすることがしょっちゅうです。この辺は工夫次第で容易に改善できる問題です。
こういう、かゆいところに手が届かない点がいくつもあるため、アプリケーションとして「惜しい」できになっています。
ほかにも、フィギュア間のコピーとか、アニメーションの補完の問題点とか、特殊な動き(パントマイムの「分解」みたいなの)への対応などなど文句はいろいろあります。

・・・でも、こき下ろしたのをフォローするわけではありませんが、そういう欠点を我慢しちゃえるくらい面白いソフトです。操作性に関しては今後のバージョンに期待ということにしときましょう。
(※ ・・・と、書いたところでPoser ver.3の概要が発表されました。ここで書いた欠点はだいぶ見直されたみたいです。)
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パフォーミング・アーツ系の面白い使い方としては、即興的にアニメーションを作るというのがあります。
たとえば10コマごとに、でたらめにポーズを作成します。
それを数回繰り返してから、アニメーションとして眺めます。ポーズとポーズの間を補完してくれるので、そうとうメチャクチャなポーズでもそれなりな動きを見せてくれます。こういうのをいくつかやってると、たまにコンテンポラリー・ダンスの一部のようなハッとする動きをしでかします。

プロジェクタでこういうの映して、人間と競演させると面白いかもしれない。・・・というか、個人的な話になっちゃうけど、自分の動きを撮った動画と合成してイメージ動画を作れないかなとか現在考えてるとこです。


ここで使っている画像やアニメーションについて

さらにテクニカルかつマニアックな話題に流れますが、Poserのデータ形式やアニメーションの変換やらについて。難しかったら読み流してください。

Poserで作成した画像やアニメーションのデータは、.pzrという拡張子の付くPoser独自のフォーマットで保存されます。
もちろん、レンダリングした画像をTIFFやBMPに落としたり、アニメーションはWinならAVI、MacならQuickTimeに落とすことができます。
それだけでなく、3Dデータを3D CGソフトの各種フォーマットに変換できます。AutoCADのDXFや3D Studio形式などです。ところが、残念なことにVRMLは吐き出せません。VRMLに変換するには、DXFなどの形式にファイルを変換してからコンバータにかける必要があります。
ただ、VRML 2.0への対応がなかなかうまくいきません。VRML 2.0からはアニメーションが表現できるようになったので、アニメーションのデータをVRML 2.0化したかったのですが、努力したもののVRML 1.0までがやっとでした。VRML 1.0→2.0へのコンバートはできなくはないんですが、アニメーションを1コマずつ変換してからVRML2.0にまとめることになるんで、とてもやってられません。
ちなみに、Poserのデータ・ファイルの中身はテキストです。データ形式の詳細が分かれば、VRML 2.0へ直接変換するスクリプトも作成できるような気がします。これは暇ができたら挑戦してみたいです(と言ってるうちに、3.0が出てしまいました。3.0ではデータ変換がどうなっているか、今('98.06)のところ不明です)。

マニアックな話題はまだ続きます。今度はAVI→GIFの話。
ここで公開しているアニメーションは、いったんAVIに落として、それからアニメーションGIFに変換しています。そのとき使っているツールは、GIF Movie Gearというシェアウェアです。
アニメーションGIFを作るツールは数多あるのですが、このツールのいいところは、AVIを読み込んでアニメーションGIFに変換できるところです。もちろんそれだけでなく、上下左右の余白を全コマに渡ってトリミングしたり、色数を減らしてファイル・サイズを減らすこともできます。
詳細はhttp://www.gamani.com/を参照のこと。
ちなみに、動画が同じ大きさ、コマ数、色数の場合、実写のビデオをキャプチャしたものよりも、Poserで作ったデータの方がGIFのサイズが小さくなります。たぶんPoserでは背景が単色なんで、圧縮率が高くなるんだと思います。

ついでなんで、背景画像についても書いておくと、PoserでポーズをとらせてからPhotoshop 4.0のGraphic penというフィルタにかけて、Invertしてから黒のレベルを192まで上げてコントラストを下げています。背景色で透明化してあります。・・・んー、Photoshopを使っていない人にはさっぱり分からんと思いますが、参考までに。

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Poser 3について

※ Poser 3は日本国内でも、とうに販売されています。僕も入手しているんですが、いかんせん使い込んでる暇がないんで、この稿はもうしばらくこのままということで。いずれ新しいGIFアニメーション作りで使い込んだら詳細を書いてみたいと思います。Poser 3 日本語版の詳細は、
http://www.mvi.co.jp/products/metacreations/poser/ を参照してください。(99.06.01)


この原稿を書いていて、Poserのサイトをチェックしたら、いつの間にかPoser 3の概要がアナウンスされていました。
URLは、http://www.metacreations.com/products/poser3/です。
国内版のリリースはまだなようですが、北米ではもうリリースされている頃です。(※上に書いているように、すでに発売されています)

で、概要を見る限り、上に書いた欠点の多くが改善されているみたいです。
今回のバージョンの特徴を列挙すると、
  • 速度の改善
  • 表情を使用できる(!)
  • 手の指を動かすことができる(!)
  • 動物もモデリングできる(!)
  • 歩行のアニメーションが楽ちんに
  • モーション・キャプチャの規格(BVH)に対応(!)
・・・すごいですねえ。それと、パッケージの絵柄から判断するに、髪の毛も使用できそうです。(※これらはカタログに偽りなしでした。それとGUIが独特になって、Windows環境ではたまに挙動不審になるものの、すごくかっこよくなりました。あと、旧バージョンとの互換性でほんの少し困った点があったりもします。Poser 2の人形のデータがうまく読めないのです)

表情の応用としては、口元を動かすのに合わせて、サウンドを鳴らすこともできるみたいです。しゃべることができるわけですね。
Poser 2.0では、指のレベルでは動かせなかったんで、壁とか細かいとこは僕の手で画像を作ってるんですが、今度のバージョンならPoserだけでもできそう。

それと、モーション・キャプチャの規格というのは、BVHモーション・データというやつだそうです。こんな規格があることは、僕は初めて知りました。
モーション・キャプチャそのものは、どこかの研究所やソフト・ラボとかでするのでしょうが、これをBVHフォーマットにすることで、ほかに使い回しできるわけですね。 もし仮に、セガがバーチャ・ファイターの酔拳の動きをBVHフォーマットで公開してくれたら、PoserにそのBVHを読ませて即座に酔拳のアニメーションが再現できることになる、はずです。 手話をモーション・キャプチャして、BVHフォーマットにしておけば手話ライブラリになるかもしれません。
マイムをモーション・キャプチャしたら即座にマイムのアニメーションができあがるわけで、今までの苦労を考えたらちょっと唸っちゃいますけど。

・・・ところが、今調べたら、もうモーション・キャプチャ・データやPoser 3用の人物ライブラリがすでに販売されているんですね。モーション・キャプチャのデータは、3D Studioなんかでも使うみたいです。
・・・考えたらそりゃそうですね。Poser以外で3D人体モデルを動かすことだってあるんだし、ニーズはわんさかあるわけで。 要は、僕が3D系CGの技術に無知というだけでした。

それにしても、ダンスやマイムの動きをモーション・キャプチャのデータにして販売とかいうことも、近い将来あながちあり得なくはないようです。
でも、マルソーのモーション・キャプチャとかが販売されて、「あなたのPoserでマルソーが動く」とかそういうことにはちょっとなってほしくないですね。まあ見てみたい気もするけど。



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